「今の定番ゲームって、1990年代はどんな進化を遂げていたんだろう?」「カタン以外にも、この時代の隠れた名作を知りたい!」と感じたことはありませんか?
1979年に創設された「ドイツ年間ゲーム大賞(Spiel des Jahres)」も、1990年代に入るとますます多様な進化を見せていきます。
推理・レース・正体隠匿・陣取りと、ジャンルの幅がぐっと広がり、後の名作デザイナーたちが次々と頭角を現し始めたのもこの時代の特徴。そして1995年には、後にボードゲーム界の歴史を塗り替えることになる、あの伝説の一作が受賞を果たします。
今回は、ドイツ年間ゲーム大賞「1990年代」の受賞作全10作をご紹介します!
1990年代のドイツ年間ゲーム大賞、ここが面白い!
名デザイナーたちの台頭が始まった時代
クラウス・トイバー、ヴォルフガング・クラマー、アレックス・ランドルフ。後にボードゲーム界を代表することになる名デザイナーたちが、この時代に次々と受賞作を生み出しています。彼らの原点となった作品を辿れるのも、1990年代を振り返る面白さです。
1995年、歴史が動いた瞬間
1990年代最大のトピックといえば、やはり1995年に受賞したあの世界的名作の存在。今なお「ボードゲームの入り口」として名前が挙がり続けるこの一作の登場をきっかけに、ドイツ年間ゲーム大賞そのものの知名度も一気に世界へ広がっていきました。
今のジャンルの基礎が続々完成
正体隠匿、陣取り、レース、探索。1980年代に生まれたジャンルの種が、1990年代でさらに洗練されて花開いていきます。今のボードゲームに繋がる基礎が着実に固まっていった、まさに成長期といえる10年間です。
1990年代 受賞作 全10作
それでは、1990年から1999年までの受賞作10作を、発表順にご紹介していきます。
社交界の見栄の張り合いから、あの世界的ヒット作まで、多様なラインナップをお楽しみください!
1990年. 貴族の務め
見栄と盗みの社交界
貴族たちの体面戦争

引用元:ボドゲーマ
~基本情報~
| プレイ人数 | 2〜5人 |
| プレイ時間 | 60〜90分 |
| 難易度 | |
| ジャンル | 心理戦カードゲーム賞受賞 |
貴族の務めは、イギリス貴族となって骨董品コレクションを見せびらかす、見栄の張り合いゲーム。後に『カタン』を生み出すクラウス・トイバーによるドイツ年間ゲーム大賞受賞作。
手に入れた骨董品を展示会に出品して自慢するのが目的ですが、展示中の品は他プレイヤーの「泥棒」に狙われてしまうのが最大の特徴。プレイヤーごとに所持金や泥棒の強さが異なる非対称なルールも、駆け引きに深みを与えています。
「何が貴族やねん」とツッコみたくなるような、平気で盗みを働く貴族たちのコミカルな世界観と、しっかりとした読み合いを両立した良作。1990年ドイツゲーム賞でも1位を獲得した、この時代を代表する一作です。

「カタンの作者、こんなゲームも作ってたんだ」って知ると親近感わくよね!
貴族らしからぬ泥棒稼業がシュールで面白いんだ(笑)
1991年. ドルンター・ドルーバー
守るべき建物はどれか
街づくりという名の破壊劇

引用元:ボドゲーマ
~基本情報~
| プレイ人数 | 2〜4人 |
| プレイ時間 | 45〜60分 |
| 難易度 | |
| ジャンル | 正体隠匿パズルゲーム賞受賞 |
ドルンター・ドルーバーは、クラウス・トイバーが『カタン』を生み出す4年前に手がけたドイツ年間ゲーム大賞受賞作。街を無秩序に開発しながら建物を守り抜く、正体隠匿系のタイル配置ゲームです。
プレイヤーは配られたカードから自分だけが「守るべき建物」を秘密裏に把握し、道路や城壁のタイルで街を再開発しながら、他人にバレないようにその建物を守り抜くのが目的。タイルの置き方から誰が何を守っているのかを推理し合う心理戦が繰り広げられます。
公衆トイレを壊す時だけは住民投票が必要というユーモラスなルールも味付けになっており、「狂った都市計画ゲーム」と評される独特の世界観が魅力。カタンの原型となる要素も随所に感じられる、興味深い一作です。

公衆トイレだけ住民投票が必要って、細かいこだわりが面白いよね(笑)
トイバー作品のルーツを感じられるのが個人的には一番の見どころだよ!
1992年. ホーマスツアー
風除けの駆け引き
ツール・ド・フランスを卓上で

引用元:ボドゲーマ
~基本情報~
| プレイ人数 | 2〜6人 |
| プレイ時間 | 60~90分 |
| 難易度 | |
| ジャンル | 運要素ゲーム賞受賞 |
ホーマスツアー(原題:Um Reifenbreite)は、ツール・ド・フランスをモチーフにしたドイツ年間ゲーム大賞受賞の自転車ロードレースゲーム。原題は「タイヤ一つ分の幅」という意味の、僅差の勝負を象徴する言葉です。
各チーム4人の選手をサイコロで進めていきますが、前を走る選手の後ろにつくと風の抵抗を受けずに進めるという「風除け」のルールが最大の肝。実際のロードレースさながらの集団戦術が卓上で再現されています。
自転車レースのリアルな駆け引きを見事にゲーム化した設計が高く評価された一作で、当時としては珍しいスポーツテーマの受賞作。国内での知名度こそ控えめですが、レースゲーム好きなら押さえておきたい隠れた良作です。

「風除け」の概念をボードゲームに落とし込む発想がすごいよね!
自転車レース好きな人に特に刺さりそうな一作だよ!
1993年. ブラフ (Bluff)
ダイスの目は世界にいくつ?
統計と度胸のダイスゲーム

引用元:メビウス
~基本情報~
| プレイ人数 | 2〜6人 |
| プレイ時間 | 20~40分 |
| 難易度 | |
| ジャンル | 運要素心理戦ゲーム賞受賞 |
ブラフは、カップの中で振った自分だけのダイス目を見て、場に「特定の目が合計いくつ以上あるか」を予想して競り上げるゲーム。1993年のドイツ年間ゲーム大賞を受賞した、まさに伝説的名作。
前の人の宣言が多すぎると思ったら「ブラフ!」と叫んで全員のカップをオープン。確率的にはありえない数字でも、誰かが1つの目を大量に持っていれば成立してしまう……。
自分のダイスが減るほど情報が少なくなり、ハッタリの比重が増していくヒリヒリとした展開に、大人も子供も夢中になります!

「カップを振る音」だけでテンションが上がるよ!
カジノシーンのような緊迫感が味わえる名作中の名作だね。
1994年. マンハッタン
摩天楼の高さを競う
静かなる建築戦争

引用元:アークライト
~基本情報~
| プレイ人数 | 2〜4人 |
| プレイ時間 | 45~60分 |
| 難易度 | |
| ジャンル | 戦略ゲーム賞受賞 |
マンハッタンは、ドイツ年間ゲーム大賞を受賞した、6つの街区にビルを建てて高さを競うエリアマジョリティの古典。
手番ではカードで指定された街区にビルパーツを配置し、街区ごとに一番高いビルを持つプレイヤーがその街区の支配権を獲得します。ラウンドの終わりには、支配した街区の数がそのまま得点になります。
高いビルを1本だけ建てるか、複数の街区に薄く広く展開するかという戦略の選択が悩ましく、30年近く前の作品とは思えないほど現代でも通用するバランスの良さが光ります。ルールもシンプルで、陣取りゲーム入門にもおすすめの一作です。

「とりあえず高く建てたい」という気持ちが毎回わいてくるけど、それだと足元をすくわれるよ(笑)
古い作品なのに、今遊んでも全然色褪せない面白さがあるんだ!
1995年. カタン
無人島を開拓せよ!

引用元:GP
~基本情報~
| プレイ人数 | 3〜4人 |
| プレイ時間 | 60〜90分 |
| 難易度 | |
| ジャンル | 戦略交渉ゲーム賞受賞 |
カタンは、サイコロを振って得た資源で家や道を作り、島を開拓していく陣取りゲーム。
4人で遊ぶとマップ上の土地が適度に埋まるため、「あそこに道を作りたいけど、先にライバルに越されそう!」という適度な圧迫感が生まれ、戦略性が一気に増します。自分の計画をいかに邪魔されずに進めるか、手に汗握る展開が続きます。
最大の魅力はプレイヤー同士の「交渉」です。足りない資源を「木と土を交換しない?」と話し合って手に入れるプレイヤー間のリアルなやり取りは、4人だとより活発になり、常に誰かの番でもワクワクが止まりません。交渉次第で逆転も可能なため、最後まで全員が主役になれる一作です。
運と実力のバランスが絶妙で、初心者からベテランまで何度でも遊びたくなる魅力が詰まっています。

サイコロを振るたびに一喜一憂!4人集まったらまずはこれ、と言える不朽の名作だよ!
島の配置をランダムに変えられるから何回やっても飽きが来ない!
1996年. エルグランデ
スペインの覇権を賭けた
騎士たちの領土争い

引用元:Engames
~基本情報~
| プレイ人数 | 2〜5人 |
| プレイ時間 | 90〜120分 |
| 難易度 | |
| ジャンル | 記憶力戦略ゲーム賞受賞 |
エルグランデは、ドイツ年間ゲーム大賞を受賞した、陣取りゲームというジャンルを語るうえで欠かせない歴史的傑作。
プレイヤーはアクションカードの入札で手番の実行順を決めながら、騎士コマを各エリアに送り込んで領土を支配していきます。エリアごとに騎士の数を比較して得点が決まる、王道のエリアマジョリティ方式です。
タワーに騎士を隠しておき、得点計算の直前に一斉に繰り出すという駆け引きが最大の見どころで、相手の手の内を読み合う緊張感がたまりません。2〜5人のどの人数でも面白さが変わらないという懐の深さも兼ね備えた、まさに陣取りゲームの金字塔と呼ぶにふさわしい一作です。

「陣取りゲームの原点はこれ」って言われるのも納得の完成度!
タワーに隠した騎士をいつ繰り出すか、その駆け引きがたまらないよ!
1997年. ミシシッピクイーン
川の蛇行に賭けろ
外輪船レース

引用元:ボドゲーマ
~基本情報~
| プレイ人数 | 3〜5人 |
| プレイ時間 | 45~60分 |
| 難易度 | |
| ジャンル | 運要素ゲーム賞受賞 |
ミシシッピクイーンは、ミシシッピ川を舞台に外輪船をレースさせる、ドイツ年間ゲーム大賞受賞のタイル配置×すごろくのレースゲームです。
手番では石炭を消費して速度を上げるか、進路変更をするかを選びながら、蛇行する川のタイルを自分で置き足して進んでいきます。川の曲がり方はプレイしながら初めて明らかになるため、先の展開を読みきれないスリルが常につきまといます。
スピードを出しすぎるとカーブを曲がりきれず脱線してしまうという絶妙なリスク管理が求められ、手軽なルールながら思考の濃度は意外なほど高め。当時としては目新しい「動的に伸びていくコース」という発想が高く評価されました。

カーブの先が見えないから、スピード出しすぎて毎回ヒヤヒヤするよ(笑)
コースが伸びていく発想が当時としてはすごく新しかったんだろうなって思うよ!
1998年. エルフェンランド
ドラゴンに乗って
エルフの国を駆け抜けろ

引用元:メビウス
~基本情報~
| プレイ人数 | 2〜6人 |
| プレイ時間 | 60~90分 |
| 難易度 | |
| ジャンル | 手札管理ゲーム賞受賞 |
エルフェンランドは、アラン・ムーンによるドイツ年間ゲーム大賞受賞作。ドラゴンやユニコーンなど、ファンタジーらしい乗り物を乗り継いで街を巡る旅ゲームです。
手持ちの移動カードを使って道に描かれたアイコンと一致する乗り物で進んでいくのが基本ルール。ただし各マスに置ける旅人コマは1つだけなので、「そこにドラゴンを置くなよ!」という進路の奪い合いが名物になっています。
限られた手札の中でいかに効率よく街を巡るかというパズル的な思考と、他プレイヤーとの進路の駆け引きが両立した完成度の高さが魅力。後に『チケット・トゥ・ライド』を生み出すアラン・ムーンの原点とも言える、旅情感あふれる名作です。

「チケット・トゥ・ライドの原点がここにあった」って思うと感慨深いよね!
進路を巡ってワイワイ喧嘩するのが楽しいゲームだよ!
1999年. ティカル
密林に眠る神殿を
誰よりも早く踏破せよ

引用元:ボドゲーマ
~基本情報~
| プレイ人数 | 2〜4人 |
| プレイ時間 | 90~120分 |
| 難易度 | |
| ジャンル | 戦略ゲーム賞受賞 |
ティカルは、1990年代の掉尾を飾るドイツ年間ゲーム大賞受賞作。クラマー&キースリングによる、マヤ文明の遺跡発掘をテーマにした探索×陣取りゲームです。
毎ターン10ポイントのアクションポイントを使い、地形タイルを引いて密林を切り拓きながら、隊員を進めて神殿や財宝を発見していくのが基本の流れ。大きな神殿ほど高い得点につながりますが、火山のタイルが出れば、即座に得点計算に入ります。
行動ポイント制ならではの自由度の高さと、地形が広がっていくワクワク感が両立した完成度で、ドイツ年間ゲーム大賞でも1位を獲得。後の「マスク三部作」に続くクラマー&キースリング作品の記念すべき第1弾として、今なお高い評価を得ています。

密林がどんどん広がっていくのが探検してる気分でワクワクするよ!
1990年代の締めくくりにふさわしい、しっかり歯応えのある一作だね!
名デザイナーたちが台頭した1990年代の受賞作の世界、気になる作品は見つかりましたか??
今回ご紹介した10作は、どれも今のボードゲーム界を支えるデザイナーたちの原点が詰まった名作ばかり。1995年のカタンをきっかけに世界が変わったことを実感できる、濃密な10年間でした。
今後もドイツ年間ゲーム賞受賞作をご紹介予定です。ぜひまたチェックしてみてくださいね!
